【編集・再構成】崖っぷち経理家めたぽ、カードゲームショップで会計を学ぶ。

経理で飯を食べている筆者が、カードゲームショップの会計(経理)の基本のキを述べてみたショートコラムです。
(注:この記事は、遊戯王サイト「めたつぼ」にて2013.4.21に公開したものを、移管・再構成したものです。)

 

 

経費って、パック代だけ……?

カードゲームショップにとっての「売上」、そして「経費」って、なんだと思いますか?
カードゲームショップという所はオーナーの立場で言えばカードを仕入れ、売るだけではありません。
かかる費用はカードのパックやシングルカードの仕入れの他にアルバイトや社員の人件費、カードのショーケースやPOSレジといった設備資産、テナントを借りるための支払家賃、店の照明による光熱費、イベント等を告知するための広告宣伝費、いわゆる有名カードショップの看板(知名度)を借りるのであればそのロイヤリティ等、「販売費及び一般管理費」は枚挙に暇がありません。
そのため「儲け」を出すのはかなり難しいことであり、シングルカード以外の「パック」についてはメーカー希望小売価格が設定されているため粗利的には計算がしやすくとも初動以外は稼ぎにくいものです。(なお、メーカー希望小売価格には強制力はありませんが、ユーザー側の立場としてパックの表面に「150円」と書いているのに、値札にそれ以上の価格がついていれば手を出しにくいという実質的な強制力は否定出来ません)
一方、カードゲームショップの主たる費用である仕入とは一体なんでしょうか?
パックの仕入とシングルカードの買取の合計? 半分正解ですが、それだけでは満点ではありません。仕入とは「期首棚卸+当期仕入ー期末棚卸」と表現されます。難しい表現をしていますが、言い換えると「一年の始まりの在庫+その一年間の仕入ー一年の終わりの在庫」。
ぶっちゃければ「売れてない在庫はまだ費用にはできない」わけです。恐らく皆さんもスーパーマーケットやコンビニで品出し担当が棚に付箋を張り付けていることは見たことがあると思いますが、あれが「棚卸の確認」であり小売業では一ヶ月に一回のペースでやるような事がよく見られています(万引きによる損失の把握のため)。
レジ裏にパックやカードサプライを保管しており、ガラスショーケースに高額カードを保管しているショップにおいては万引きの危険性は極めて低いためそんな頻繁な棚卸の確認は要さないと思いますが、それでも一年に一回の確認は必須です(個人事業者は12月末、法人事業者は決算期末)。

パックの仕入値=150円(←わかる) シングルカードの仕入値=???

シングルカードの買取金額は店が決めています。ということは仕入値そのものは店によって違うのか? 答えはイエスです。でも、上段で、「売れ残りは経費にはできない」と記載しました。では、高く仕入れたものの禁止の改定があって「売れる理由が無くなった」カードって、経費にできないのでしょうか?
結論から言えば経費にできるかの判定はかなり難しい判断を要します。一般的な事業においては「型遅れなどで売れなくなってしまった」ような商品は「棚卸評価損」という形で経費にすることができます(「破棄した」扱いとして経費扱いにします。しかし、本当にその場合捨てなければなりません。評価損を計上しているのに商品が残っているとなると、税務署は許してくれません)。
しかしカードゲーム界で「型遅れ」という判断がとても難しいのです。だって、《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》や《混沌帝龍 −終焉の使者−》ですら絶対戻ってこないと言われて数年で戻ってきてしまった! 税務的には数千円という商品価値から一旦0円に近い価値となり、また数千円に舞い戻ってきてしまったわけです。
あらゆるカードがメーカーによるサポートを終了しない限り価値があるという判断を下さざるをえなく、一経理実務家の判断としては「メーカーサポートの終了時点で初めて評価損を下せる。禁止改定によることでは経費に判断することは難しい」と考えています。

みんなが聞きたい、税金の話

事業をしている方にとって、税金は「儲け」から「経費」を引いたものに掛ってきます。では、オーナーはどうやって税金を少なくするのでしょうか。もちろん、売上を隠すなんてことはもってのほかです。そうすれば、給料をいっぱい計上したり、ショーケース等の資産を購入したりして、経費を沢山かけることでしょうか?
半分は不正解。そういった「その場しのぎ」の経費の盛り方については日本の税制は対策をしてきています。給料を増すやり方については、個人事業者であれば店の利益も自分への給料も同じく「自分の利益」なので合わせて確定申告すればいいですので問題ありません(いくら給料を取ろうが、それに伴う適切な税金が算出されます)。しかし、法人事業者の場合は「店」と「社長」は別物なので、自分への給料(役員報酬)を払うことにつき、「儲かりそうだから急に自分の給料を盛って利益を減らす」ことをしても税金面でも恩恵がありません。役員報酬は一年間毎月定額でないといけない定めが有り、その定額を超える部分は会社の経費と出来ません。(決算期前の利益調整を防ぐ趣旨です)
また、ショーケースといった資産を買って経費を増やすことについても30万円を超える「資産」については一括で経費にすることができず、減価償却という形で「数年間に分けて経費にしなければいけない」のです。(何年に分けるか、といった耐用年数については割愛します。物によってバラバラです)
裏返すと30万円を超えないものについては経費と出来るのですが、だからといって、事業に関係ないものを買っちゃいけませんよ! 経理担当(雇っていれば)・税理士・税務署からツッコミが入りますからね!
個人的には、税金を嫌って無駄遣いすることはあんまりお薦めはしないです。払うものはちゃんと払い、キャッシュフローを多く残し、「事業体力」をつけることは肝要だと思いますね。

(編集注:この記事は売上と仕入のみに着目して更新していた単発記事なのですが、他の経理科目についても取り上げてみたい気持ちがあるので、続編はいつか書きたいと思っています)

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