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【140 OVER TWEET】「OCTOPATH TRAVELER」は『攻略に寛容』な素晴らしいRPGだった

ちょっと出遅れではあるのですが、一本、話題となったゲームを楽しみましたので記事を書きます。
『OCTOPATH TRAERLER(以下、カタカナ表記で「オクトパストラベラー」と言います。)』。スクエニによるニンテンドースイッチ向け新規RPGであり、「レトロ」に「リッチ」な作品でした。

こういう画面を見ればオールドゲーマーは察するところがあるとは思うのですが、いわゆる「見下ろし視点」で「2D」でロールプレイングをする、スーファミ時代の往年のRPGを今の調理でやるとこうなる!という作品です。
見ての通り、ドットだから手が抜かれている……というわけではなく、例えば遠近をボヤケさせることにより操作キャラ周りだけをスポットする手法や、そのドット絵に3Dをシームレスに溶け込ませる手法、そして極めつけは音楽が完全オーケストラであったりと、ふんだんに贅沢な作品となっています。
戦闘は敵と味方を左右に並べてコマンドターン制という「ザ・スクウェア」!な戦闘。スクエニではなく、スクウェア。6までのファイナルファンタジーやロマンシングサ・ガで経験した戦闘方法が今蘇る。こういうのは本当にずるいですね!
音楽はオーケストラであそのクオリティが単純に抜群ではあるんですが、さらに、それを際立たせる技術も「発明」でした。


……私は音楽畑ではないのできっと伝わってないと思うし、もっとわかりやすい伝え方があるとは思います。
これに関してはぜひともその音楽を聞いてほしいと思うことしきり。「オクトパストラベラー」とのand検索で「シームレス」とか「バトルエクステンド」とかを合わせてツイッター検索をしてみたらその評判の高さが浮き彫りになると思います。

さて、ここまでは通り一遍等な感想。ここからタイトルに触れていこうと思います。
プレイしていて思ったのが、レトロゲー特有の『寛容さ』が散りばめられてる心配りを感じました。
例えば、このゲームに置いては操作キャラの一人に「(NPCからアイテムを)盗む」という町中のアクションができるキャラクターがおり、その成功率は消費アイテムの100%から、強力な装備品であれば最小3%というものもあります。「盗む」自体は一秒で終わります(何回か失敗すると街の酒場に金銭を払わないと盗むコマンドそのものを受け付けてくれません)。町中にはセーブポイントがあります。……お察しですよね。セーブ&ロードで盗むリセマラで、時間さえかければ盗むことは成功するんです。
また、操作キャラの一人に「フィールドマップを入り口から出口まで移動するたびに所持金が増える」キャラがいます。これは、後半のマップであればあるほど増える所持金が増えます。このゲームにおいては、マップそのものは一本道ではないことから、後半マップに踏み込もうと思えば序盤からでも踏み込めます(エンカウントする敵が強いという意味での実質一本道ではありますが)。……お察しですよね、逃げ続ければ序盤でも大金を手にすることができますよね。
こういうゲーマー特有の「テクニックでほじくる」やり方。昨今のRPGだとあんまりできなかった印象があるんですよね。しかし、このゲームはそれらに関し寛容だった。非常に強力な武器を持つNPCの近くにセーブポイントがあることも多々あり、そういった「やり口」を受容していくことは確信的だったとみています。
そういった世界観の中、2Dキャラが動き回るストーリーであることから、昨今の3Dの、映画的な表現に慣れたゲーマーにとっては説明不足とすら感じるかもしれません。でも、ドット絵がちょこちょこ動く「だけ」だからこそ、プレイヤーの脳内で映像が花開く。子供の頃にやったドラクエとかファイナルファンタジーの高揚感を、今、感じられた。涙腺が緩むことはないけど、心の涙袋に潤いが戻った気がします(?) ……そういった8人の主人公のストーリーは「基本的には」それぞれが絡むことはありません(100%やりきると、線がつながるどんでん返しがあります)。緻密でカロリーが高いストーリーが増え続けた現代のRPGに比べればそこも『寛容』ですよね。手を抜いているわけではなく、飲み込める程度の情報量に抑え込んでくれたという意味で、楽しみやすいストーリーでした。

こういうゲームをスクウェア・エニックスが出してくれたのが嬉しかった。かつての「スクウェア」の脈動を、この2018年に感じられたことがすごく昂ぶった。グラフィック・音楽・表現全てにスキのない、2も間違いなく遊びたいと思う一本でした。
ニンテンドースイッチをお持ちの方、「次の一本」をお探しなら、ぜひともお納めください!

【140 OVER TWEET】「アクタージュ」「ランウェイで笑って」……ジョブコミックの面白さは『大器晩成』にある

私は割と昔から「漫画読み」なんですが、その中での自分の期待の閾値をここのところ急激に上回っている作品があります。
それがタイトルにもある「アクタージュ(週刊少年ジャンプ)と「ランウェイで笑って(週刊少年マガジン)」。どちらもいわゆる「職業」を舞台としたリアリティに迫る漫画です。
もっというと「アクタージュ」は『俳優』、「ランウェイで笑って」は『服飾デザイナー』と『モデル』という、世間的にいわゆる”華のある”職業です。
この記事をご覧になってる方にもぜひ知ってほしい漫画であることから、まずはご紹介から。

アクタージュ

女優を目指す女子高生・夜凪は有名芸能事務所スターズのオーディションで天才的な芝居をするも不合格。それは彼女の危険な演技法に理由があった。しかし、夜凪の才能に魅せられた映画監督・黒山が役者の世界に誘う!!

ランウェイで笑って

身長は、158cmから伸びなかった・・・。
藤戸千雪の夢は「パリ・コレ」モデル。モデルとして致命的な低身長ゆえに、周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は折れない。そんなとき、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人の諦めきれない夢「ファッションデザイナー」を「無理でしょ」と切ってしまい・・・!? 「叶わない」宣告をされても、それでも一途に夢を追って走る2人の物語。

※それぞれ公式より引用

率直に言うと、この2作とも、私は最初の頃は強い興味を持っていたとはいえません。特にアクタージュにいたっては一度中編に入るタイミング(デスアイランド編突入前)で読むのを辞めたという体たらくだったのですが、たまたま本誌で見返したデスアイランド編終盤の鬼気迫る表現とキャラクターに「おおお!?」となり、コミックス派として通読したところ、完全にハマってしまいました。第22話「ありがとう」、百城千世子が絞り出した一言と感情がぐちゃ交ぜになった横顔に筆致を感じずに入られません。
ランウェイで笑っては当初から読んではいたものの、他の人気作に比べてお世辞にも「売れ筋である」という意味での花形ではなかったことから、楽しみとか楽しみではないとかでもないフラットな気持ちで淡々と読んでいた程度だったのですが……6巻の怒涛の展開で一気に心打たれました。第49話「まるで台風」から第50話「今日から君は」に至って、キャラクターの思惑・意地・能力・関係が絡み合い貫かれた展開。作者猪谷言ノ葉が6巻の帯で「初めて無理を言って、いつもより多く収録してもらいました! どうしてもその話まで見てほしかった…!」と言うほどの巻末ヒキであり、コミックス派としての私も


と、感情を吐露してしまいました。

2つに共通するところが、「1シーンで全てを持っていく」強烈なパワーがあったこと。
誤解を招くので補足をすると、世にいう名作ヒット作にそういうものが無いわけではありません。むしろ名作らは常時そういったパワーを放っているからこそ、そこからさらなる先ターニングポイントが起きた際にパワーを感じても、その「差」を感じづらいのです。
アクタージュやランウェイで笑っては人物群像劇であるからこそ、まずは人物の掘り下げ・性格の描写を積み重ねないといけない。愚直に、地道に、的確に。それでいて読者に展開を悟られるような掘り下げ方ではいけない。シビアで、デリケートな仕事だと思うんですよ。ためて、ためて、ぶっ放す。だからこそ読み手に伝わる一撃の重みが半端なかった。
例えるならば私の中で暗殺教室やデスノートといった作品が「常時80点くらいのテンションで連載し、ターニングポイントで98点をぶちかます作品」だったとするなら、アクタージュやランウェイで笑っては「常時は70点くらいのテンションで連載して、ターニングポイントで99点を取りに来た作品」と感じたわけです。総合力はいわゆるヒット作の方が評価が高くなってしまう、それは仕方ない。でも、要所のパワーで「記録より記憶に残る」意識取りについては、クリエイターの意地を感じるなあと思うことしきりでした。
本当は、このコマが!この展開が!刺さったんだよ!と熱弁したいんですが、これらの感情はぜひとも皆さんにはネタバレを取り入れず読んでほしいからこそ、そういう引用はいたしません。

そして、語りたいという気持ちと、長文記事というにははばかられる程度の文字量だったからこそ、”140 OVER TWEET”のくくりで文字起こしをいたしました。今年の推し作品として、ゴリ押しをさせていただきます!

【140 OVER TWEET】スプラトゥーン2ミュージックへの愛情 ABXYの鼓舞するところ

過去に「【140 OVER TWEET】スプラトゥーン2ミュージックへの愛情 マストはテンタクルズではなく……?」という記事を書き、スプラトゥーン2におけるジャズサウンド表現についてラブを振りまいていたのですが、その第二弾です。
ゲーム内バンドに「ABXY」というものがあり、公式の表現を引用すると「イソギンチャク女子ボーカルの独特なキャラクターとピコピコサウンドでイカ界のヒットチャートを爆進中の4人組だ。」とあります。
ABXYというバンド名はおなじみ任天堂ハードのコントローラーの4つのボタン名から取っていつつ、そのまま読み方として「アビクシー」とかにも取れる、とてもいいネーミングですね。
この世界の「ボーカル」というのはいわゆるイカ語ですので、前回紹介のカレントリップに比べたら「ザ・スプラ」なサウンドとなっています。
折角なので、公式からサンプルを紹介したツイートを引用しますね。(1つ目はスプラ1初登場時、2〜3つ目は昨今の大型アップデートでスプラ2に搭載された新曲です)

1のときはピコピコ感の中にクールさを残していたサウンド。2はそれがキュートに明るい方向に持っていってる気がしませんか?
おそらくはクール成分がテンタクルズに持っていかれてるから、方向を「こっち」に寄せたと思うんですよね。
ぱっと浮かんだのは「いきものがかり」と「Perfume」的なアッパーサウンド。J-POPのツボ感ある音楽で高揚感があり、このサウンドが流れた時の勝負は非常に内心盛り上がっています。
カレントリップが観戦に向く「外向き」ナンバーと評するなら、一方ABXYはプレイヤーに向けて鼓舞をする「内向き」のナンバー。
ゲーム性はもちろん世界観においても非常に緻密なバランスを表現してくれているスプラトゥーン。
近日中には拡張パック「オクト・エキスパンション」による掘り下げも用意されており、まだまだこのゲームには底が見えません。
Switchをお持ちの方は、本当に買って楽しんで頂きたい一本です。

  

「140 over tweet」カテゴリ用サムネイルを新設します

おなじみ専属イラストレーターのダレムくんに、「140 over tweet」カテゴリ用のサムネイルイラストを描いていただきました。
左の「壺」はかつて遊戯王サイトを営んでいた時の自画像扱いだったモンスター《メタモルポット》であり、ハンドルネーム「めたぽ」の由来です。
なんだか久しぶりにこの造形を見た気がしますね!

テーマは「語りすぎてパニックになっている『めたぽ』を『ツイッターバード』がたしなめる」構図。
今後、過去記事にも置き換えをはかっていきますので、しばらくお待ちください。

【140 OVER TWEET】「シンゴジラ」「君の名は。」テレビ朝日放映に民放の底力を見た

この年末年始、「シンゴジラ」「君の名は。」という2016年の邦画界を席巻させた2本の映画が相次いでテレビ朝日系列で放送されましたね。
スクリーンで見てたのに、案の定もう一回見てしまいました。
その中で唸ったのが、放映方針だったんですよね。

シンゴジラは、まさに視聴者に配慮した編集。
民放である以上CMが入るのはどうしようもないことであるのですが、タイミングが絶妙でした。
盛り上がるタイミングでは絶対入れず(多分すごい入れたいと思ってたはず)、ちゃんとチャプターごとに一息を入れるタイミング、場面転換があるべきタイミングでCMを入れてくれたお陰で、むしろ視聴者が息継ぎをできるような配慮にすらなっていました。
2時間通しで見るより、このスタイルのほうがあっている方もいるはずです。

君の名は。は、それとは真逆。CMを徹底的に楽しませる方向へ振り切っていました。
長尺CMで明らかに君の名は。の縦軸を意識したストーリー型のCMが複数にわたってあり、特に「Z会 クロスロード」「Society 5.0」は秀逸でした。(もっとも、「クロスロード」は初出2014年であることを考えたら奇跡的なミッシングリンクですが)
Z会が秀逸すぎて、新作のはずのソフトバンクとデビルマンが霞んじゃいました。
ザッピングしてる視聴者は明らかに意識してるんですから、そのCMも食い入る様に見るでしょう。CMの狙うところドンピシャじゃないですか!
「田舎と都会」「遠距離」「先輩と後輩」「携帯電話」「クロスミッシング」のテーマを担うCMであれば、放映効果は特に高いんじゃないかなと思いました。

この2本は、テレビマンとしてのテレビ朝日の底力を見せつけた仕事だと思います。
映画を活かすための最大限のシナジーを狙うやり方を模索し、狙いははまったと思っています。

それを考えたら、フジの「アナと雪の女王」は本当に下手だったよなと思います。
エンディングにホームビデオをバックにしてLet It Goを流すとかいう控えめに見て狂った編集。
ディズニーファンを冒涜すらしてるんじゃないかと思っていました。

もはやテレビは独占メディアではない時代。
テレビマンのエゴを見せつけるのではなく、コンテンツを尊重してほしい。
凋落する局と、存在感を見せつけた局。その明暗を見せつけた一件なのではないかと、強く思いました。

参考動画 「Z会 クロスロード」「Society 5.0」

過去執筆記事

「君の名は。」は面白かったんですが、少しモヤモヤしました(2016.9.4)