TV・映画

【140 OVER TWEET】「下町ロケット ゴースト/ヤタガラス」がしっくりこなかった

ご無沙汰しております。案の定、年末の業務進行で全くコンテンツを書けていませんでした。ようやくその波も落ち着いてきましたので、ひとつ、この1ヶ月間で消化したコンテンツのことを。

「下町ロケット」の2ことゴースト編とヤタガラス編。半沢直樹から池井戸作品のドラマ化については信頼が大きく、日曜劇場においては全てを見ています。今クールのそれも全編見たのですが、率直に言うと今回はちょっと首を傾げるところがありました。
今回は、視聴者として偉そうな言い方になるのですが、「各方面への忖度が見え見えだった」のと「無骨に作品の一本筋を通そうという気概が薄かった気がした」という点を感じ取りました。この2点を一つ一つ言語化しておきたいと思います。

各方面への忖度が見え見えだった

この点に関しては、皆さんも思うところがあるのではないでしょうか。
作品の縦軸、そして合間のCM。今回はクボタの協力ありきの作成が見え見えだったからこそ、「無人トラクター」という軸で話を進めていったのだと思います。小説原作の発売時期を考えれば、「クボタの協力を取り付けてから作った作品」である雰囲気が見てとれ、ある意味ではクボタの60分CMですらあるのではないかと邪推してしまいました。
前回の下町ロケット1を含め、他の池井戸作品が事前に発売されていたことを考えると、今回は小説原作というよりドラマ監修にしか作品がなっておらず、この縛りであると池井戸氏もやりたいように動けず、だからこそテレビ業界特有の注文を反映せざるを得なかったのではないでしょうか。小型無人トラクターはクボタの得意とするところ。それを賛美し、大型トラクターを露骨に落としていく脚本は、あまりいい顔をしない会社もあるのではないでしょうか。

あと、キャラクター。これは正直、私、駄目だと思いました! これまでの半沢作品は悪役にしても主人公格にしても一本軸の通った魅力があったわけですが、今回だけは少し疑問を呈したい。それが「軽部真樹男(act:徳重聡)」。役内では「実力があるエンジニアながらも協調力がなく毎日定時帰りをしていた。その理由は娘の病院への送迎のためであり、病院への対応が済んだ後再び会社に戻り自分の仕事をしている不器用な男だった」ものでした。
一話内で落として上げるカタルシスを感じさせるならともかく、今回のこれは判明させるまで相当な話数をまたいでいた。また、これがないと成り立たない展開でもまったくなかった。このドラマの主たるターゲット層に「か〜、だからゆとり社員は駄目なんだよな〜(ビールグビー)」と溜飲を下げさせるためだけに作られた展開に見え、私「ゆとり社員」サイドとしては釈然としませんでした。
その後さっくりと「残業だ!」と切り出すシーンにおいても、「立花は、軽部の娘が難病と知ってて残業で拘束しようとしてるの!?」「軽部も、なんでそんな簡単に残業に切り替えられるの!? 娘は!?」と、技術者勢のサイコパスさが浮き彫りになって(頭に取られて)、展開がしっくりと入ってきませんでした。

無骨に作品の一本筋を通そうという気概が薄かった気がした

見てて思ったのですが、今回は池井戸節が薄かったというか、日本のドラマの癖が出ていた気がするんですよね。隙間尺のコメディ寸劇で笑いを取りにいったり、一枚絵で笑いを取れるような、いわゆるSNSウケを狙うモノ。
おそらく制作サイドは半沢直樹大和田の土下座長尺でその旨味を感じ取り癖になってると思うのですが、それもしつこくやられると、せっかくの池井戸作品の魅力が減衰してしまうんですよね。
ボウリングのくだりやおはぎのくだりを組み込み続けてキャラクターを補強するより、その尺を帝国重工・ギアゴースト・ダイダロスとの確執に一秒でも多く割いたほうがこのドラマのターゲット層に刺さったのではないかと思ってやみません。

視聴率も低迷していたとのニュースにあり、この「2」のコケは半沢直樹の2化も暗礁に乗り上げたと感じざるを得ません。今作のクオリティに関しては、ファンとしても疑念を持っており、ベクトルの修正を強く望まざるを得ません。

圧倒的異端 「名探偵コナン ゼロの執行人」感想

真実は、いつもひとつ……?

毎年のように邦画のヒット作として春口に放映される「名探偵コナン」シリーズ。
漫画としては超長編としてあまりにも有名で、私自身全てを読んでいるわけではないのですが、いわゆる「要所」を押さえている程度でした。
コナンがヒット作ということはわかるのですが、映画については実はほとんど見ていませんでした。それこそ子供の時にやっていた「時計じかけの摩天楼」とかをテレビ放映した時に見る程度で、映画館に通ってまで見るという習慣はこの作品についてはありませんでした。
ただ、今年のは違和感があるくらいSNSがガヤガヤしていた。ネタバレを避けた程度の感想を見ても、「公安」「司法」「政治」が入り乱れるポリティカルな話だと、「それコナン!?」みたいな感想が飛び交っており、「相棒」とか「小さな巨人」その他組織紛争……いわゆるポリティカルサスペンスが好きな私にとっては興味があったので、今回については見に行きました。
ここから先はネタバレ、ある程度あります(予告映像にあるシーンは堂々と表現します)。できれば、思いを共有したいから、是非ともまずは映画館に足を運んでほしい、それから見てほしいですね。損はさせません。

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【140 OVER TWEET】「シンゴジラ」「君の名は。」テレビ朝日放映に民放の底力を見た

この年末年始、「シンゴジラ」「君の名は。」という2016年の邦画界を席巻させた2本の映画が相次いでテレビ朝日系列で放送されましたね。
スクリーンで見てたのに、案の定もう一回見てしまいました。
その中で唸ったのが、放映方針だったんですよね。

シンゴジラは、まさに視聴者に配慮した編集。
民放である以上CMが入るのはどうしようもないことであるのですが、タイミングが絶妙でした。
盛り上がるタイミングでは絶対入れず(多分すごい入れたいと思ってたはず)、ちゃんとチャプターごとに一息を入れるタイミング、場面転換があるべきタイミングでCMを入れてくれたお陰で、むしろ視聴者が息継ぎをできるような配慮にすらなっていました。
2時間通しで見るより、このスタイルのほうがあっている方もいるはずです。

君の名は。は、それとは真逆。CMを徹底的に楽しませる方向へ振り切っていました。
長尺CMで明らかに君の名は。の縦軸を意識したストーリー型のCMが複数にわたってあり、特に「Z会 クロスロード」「Society 5.0」は秀逸でした。(もっとも、「クロスロード」は初出2014年であることを考えたら奇跡的なミッシングリンクですが)
Z会が秀逸すぎて、新作のはずのソフトバンクとデビルマンが霞んじゃいました。
ザッピングしてる視聴者は明らかに意識してるんですから、そのCMも食い入る様に見るでしょう。CMの狙うところドンピシャじゃないですか!
「田舎と都会」「遠距離」「先輩と後輩」「携帯電話」「クロスミッシング」のテーマを担うCMであれば、放映効果は特に高いんじゃないかなと思いました。

この2本は、テレビマンとしてのテレビ朝日の底力を見せつけた仕事だと思います。
映画を活かすための最大限のシナジーを狙うやり方を模索し、狙いははまったと思っています。

それを考えたら、フジの「アナと雪の女王」は本当に下手だったよなと思います。
エンディングにホームビデオをバックにしてLet It Goを流すとかいう控えめに見て狂った編集。
ディズニーファンを冒涜すらしてるんじゃないかと思っていました。

もはやテレビは独占メディアではない時代。
テレビマンのエゴを見せつけるのではなく、コンテンツを尊重してほしい。
凋落する局と、存在感を見せつけた局。その明暗を見せつけた一件なのではないかと、強く思いました。

参考動画 「Z会 クロスロード」「Society 5.0」

過去執筆記事

「君の名は。」は面白かったんですが、少しモヤモヤしました(2016.9.4)

アマゾンプライム独占番組「ドキュメンタル」は絶対見てほしい番組であることを口すっぱく伝えたい

メリークリスマス。良いお年を。明けましておめでとう御座います。
年の瀬も迫る年末の休み、ゆったりできる日を迎えたことから、前々から見たかったシリーズを一気に視聴することとしました。
それがタイトルにもある「ドキュメンタル」。アマゾンプライム独占という、中々気合を入れないと視聴できない番組なんですが、私はアマゾンプライムを本線の配達の面で多岐にわたり使用していることから、こちらもするっと見ることができます。アマゾンプライムはほんといいですよ。

さて、その「ドキュメンタル」。どのような番組かというと、松本人志がMCをつとめ、「6時間、お笑い芸人が10人だけ同空間にいて、笑えば退場、最後の生き残りが賞金総取り」という、いたくシンプルな舞台です。

 

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【140 OVER TWEET】「陸王」は面白い、でも僕は「ゲスい上司と銀行員」が見たいんだ

TBS日曜劇場2017年秋クール「陸王」、面白いですね。半沢直樹でお馴染みの池井戸潤原作、日曜劇場枠としては「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「小さな巨人」に続く5作目ですね。
半沢スタッフが再集結という触れ込みで作られた今作はプロデューサー伊與田英徳の演出らしさが随所に見られ、半沢構成の手堅さと、新作としての斬新さが光り、原作を見ていない身としては次話が楽しみです。
一方、生意気な話、まだ「爽快感」がないですよね。メインバンク融資課長(大橋)に対し「マラソン足袋の商品化はこはぜ屋の悲願であり、それを提案・支持してくれた融資課行員坂本さんは同志であり、シューズの開発をやめるわけにはいかない」とやり込めたシーンはそれなりの爽快感があったものの、銀行のロジックにある程度の正当性があるからこそ、もにょっとしてしまう感じがします。
また、見ている方として論点が2つあることが気になりまって、没入しにくいことがあるんですよね。
「茂木と毛塚のマラソン界の宿命の対決」と「『陸王』を巡る、大手メーカー『アトランティス』及びメインバンクとのビジネス喧嘩」。ドラマでやるには2テーマのフリについていくのにちょっと大変な感じがまだあります。
これは、ルーズヴェルト・ゲームのときにも感じていたのですが、野球パートと合併闘争パートも、話に入れ込めるまではなかなかフリについていくのが大変な所があったのです。
個人的には、その他の池井戸ドラマのようにビジネスの苦悩一本のみを掘り下げに掘り下げていける作品をドラマ化してほしいのですが、こればっかは好みなところがありますよね……。
爽快感とかエンタメ性を考えたら、このあたりを構成に組み込める作品のよさがあるのも重々承知しています。

非常にゲスい感想ですが、池井戸作品には「現代の水戸黄門」という視点でどうしても見てしまいます。クソみたいな上司・幹部や銀行員をやり込めて、そのうえで商品開発や出世闘争において大成功を収めてほしい。
現実は全てうまく行かないことにみんなジレンマを抱えているわけなのだから、せめて夢くらい持ってもいいじゃないか。
「陸王」も最後には爽快感の溢れる作品になることでしょう。継続視聴をしていき、日曜日の夜を清々しく過ごせる秋となりそうです。