カードキングダム動画『追加徴税2500万円!?池田は何をやらかした!』からみる会社と税務当局のたたかい

2018.12.29に一本の動画がアップされました。このサイトでも度々取り上げているカードゲーム業界の豪胆「池っち店長(以下、「池田氏」といいます。)」があけっぴろげに業界を語る動画であり、当サイトでもそのクオリティを純粋に評価しているシリーズなんですが、その新作が『追加徴税2500万円!?池田は何をやらかした!お店の作り方番外編「激・ヤバい話 #1」』。
タイトルを見た瞬間、「これは絶対に面白い!」と思いました。人の不幸を面白がるという意味での『面白い』では断じてありません。私は「経理で飯食ってて、この辺の気持ちがわかるエスパー(お察しください)」ですので、その内容は純粋に興味深かった、という意味での「面白い」です。その上で咀嚼・反芻は絶対しておくべきだと思いました。
(なお、当記事において用いている情報は、全て公表されている情報からの推論です。情報の不正使用とか風説の流布とか、そのような事実や意図はありません)

 

 

まずは、公開されてる動画を見ていただきたい。


(引用元:追加徴税2500万円!?池田は何をやらかした!お店の作り方番外編「激・ヤバい話 #1」

そして、「続きを読む」から、この動画において理解しておくべき点を読み込んでいきましょう。

論点を整理する

まずは、動画を見て、池田氏が受けた税務調査においての事実関係を整理してみましょう。

  • カードキングダムが徳島から東京に移転したあたりで税務署による税務調査を受けた
  • 節税行為について積極的ではなかった(黒字申告をしていたと見受けられる)
  • 倉庫にガッシュTCGその他サービスの終わった「市場価値のないTCG」を大量に保管していた(以下、これを「在庫」といいます。)
  • その在庫について、税務署から「在庫の資産計上漏れ」との指摘を受けた
  • 有限会社遊縁の資産評価方法は「カード1枚につき○円」であり、その計算方法であると4000万円位の金額となった
  • 追徴税額は2500万円となった

会社概要からの推定で、登記までは流石に確認していませんが、カードキングダムのフランチャイザーである有限会社遊縁(以下、単に「遊縁」といいます。)の東京都における設立年月日は2004.10.18であることから、税務調査もこの近辺で行われたと見受けられます。そして資本金から見るに、遊縁は「中小法人」としての税制が適用されていたと考えられます。仮にその時期に調査を受けたとするなら、その時の法人税率は800万円までの所得が22%。それ以上の所得には30%が課されます。まず本題に入る前に皆さんが思うであろうところを着地させておくんですが、法人税、本当に高いですよね! これは今でも15%、22%と定められています。日本の法人に競争力を高めてもらう観点であるらしく、年々法人税率は下がっているのですが、それでも高いことは否めません。「溜め込まず、株主への配当や社員への給料で還元してください」とのスタンスらしいですよ(風評)
話は戻りますが、その法人税率から、なんとなく、この動画で扱われている指摘の全貌が見えてきますよね。22%及び30%の税率で税額2500万円が課されたのに指摘を受けた棚卸計上漏れは4000万円。合わないようにみえますが、ここで公表されていない他の経理ミスの指摘にあたる部分を割愛しているかもしれない。その場合においては消費税とか源泉所得税の追加納付が必要となりますね。また法人税の追徴に関してかかってくる事業税も含めているのか、また追徴におけるペナルティ税とされる過少申告加算税もしくは重加算税を含めているのか、納付が遅れた場合における延滞税はどうか。可能性が多岐にわたります。
ただ……推測の域は出ませんが、自分が同じ立場ならどう語るか、ということを考えたら「国税・地方税・加算税・延滞税を全てひっくるめた数字」だと思いますよ。そのほうが見出しのインパクトが強くて視聴者を引っ張れますからね。それらを考慮しておそらくですが、この税務調査においてはこの指摘一本のたたかいだったと見受けられます。数字的にはおよその正当性がみてとれます。(注意:赤字状態から税務署指摘による黒字へ転じた場合においてはその限りではありませんが、動画において『節税行為について積極的ではなかった(黒字申告をしていたと見受けられる)』ニュアンスの発言があることから、ここでは考慮しません)
少なくとも言えることは、このときカードキングダムはまだ「中小法人」として地固めをしていた時代です。商売上本業動かしている金額的にこんなドデカイ税額が考慮されることは早々ないんですよ。だけど、それが「起きる」。商売の怖さです。これは国相手だけで起きる恐怖ではありません。会社経営は「食い合い」なんです。知財関係で、許認可で、時代の乗り遅れで。一秒一秒をサバイバルしないとあっという間に「食われる側」になってしまう世界です。あの池田氏ですらそこに掴まりかけた恐怖を考えると、商売をやる方には本当にこの動画を肝に銘じて見てほしいです。池田氏はオチつけて笑い事にしてますけど、目の奥は笑ってないですよ?

指摘は正当だったのか

そして、この税務調査による指摘。めっちゃくちゃ考えさせるものがありますね!
私は、個人的には、スタンスとしては「サービスが終わった商品は『棚卸評価損』として経費計上が通るのでは」というスタンスでした。(『【編集・再構成】崖っぷち経理家めたぽ、カードゲームショップで会計を学ぶ。』において執筆(2013.4.21『めたつぼ』にて公開。2017.10.8『めたぽーたる』へ移管)
でも、その理屈が税務職員に通らなかった。……国の肩を持つわけではないですが、言っていることが理解できなくはないんですよ。他の業界に置き換えてみましょう。「あなたはアパレル業界のセレクトショップを経営してて、提携しているデザイナーが一つ廃業しました。そこから仕入れている服がありました。売れ筋ではないけれども、一応倉庫に置いてます」「あなたは珍しい硬貨を扱っている古物商です。つい最近一つ無くなった国家がありましたが、その国の硬貨を手に入れました。経済機能として使えはしないけれども、もう手に入らない硬貨です」。……それと一緒なんですよね。あくまで「返品とかケアをしてくれる相手先が消えただけで、その商品が売れないかどうか、商品価値がゼロなのかなんて断言できない」んです。好き者(マニア)が購入する可能性が万に一つないなんてことは言い切れないのです。
いないことなんて証明できない。いわゆる悪魔の証明です。「一般的に需要がないことが明らかじゃないか!」ということは通りません。池田氏の語りに置いて税務職員が「我々には、(ゴミ扱いとしている在庫が)表にある商品と一緒に見えますね」と言っていますが、税務職員も馬鹿じゃない。一般常識としての筋論として無理筋であることは承知のうえで、税法会計としての筋論が通っていることを軸に理屈を押してきているわけです。
これを「ゴミ扱いとして」受け入れてしまうと、他の調査事例で真に在庫を隠蔽して所得操作をしている悪人に対しても同様の態度を取らなければいけないわけであり、税務調査はすべからく公平でなければならないスタンスがある以上、引くわけにはいかないわけです。

まさに、新聞報道によくあるグローバル大企業が税務調査において指摘て何百億円と追加納付をした際に広報からコメントがある「見解の相違があったが、指摘どおりに納付した」ですよ。
一般常識と税務会計のはざま(グレーゾーン)となる事実関係においてダンガンロンパ(隠語)する。それが私は税務調査という「たたかい」だと思ってますし、だからこそ企業の社長は獰猛で、狡猾でないと生きていけないと思います。池田氏はそういう「たたかい」で一発を喰らいましたが、その後も生きている。限りなく敬意を表するべきところだと思います。

タダで、というのはあまりにも厚かましいですが、これからもこういう経営サイドでしか持ちえない角度から動画、見てみたいですね。

Q.めたぽ、この一件(※下記スクリーンショット参照)で日和った?

A.日和ったというよりビビりました。ここのところのSNS界隈への池田氏への、ユーザーサイドの過激な論調は、過去に引っ張られて感情的な憎みが引っ込められなくなっている人がいるように見受けられます。私自身、昨今は動画界隈やツイッターの思想展開もかなり同調できるスタンスです。

日和って「こちらにまわった」わけではありません。これからもフラットに、界隈を眺めていきたい所存です。

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