毎年書いている、漫画読みとしての脳内整理記事シリーズです。
毎年もう少し後の時期に書いているのですが、よくよく考えると本家がこの時期(夏頃)に発表してるんですから、待つ意味もあんまりなかったな、ってことで書き出しました。
ここから先にランキングを揺るがす大作が出るかもしれませんが、それはまあ来年に持ち越しということで……!?
今年も10作選びましたが、傾向として、全くの新規から「すごい!」と駆け上がらせた(ランキングに載せた)漫画はそう多くなく、これまでも読んでいて「(普通に)面白いなあ」と感じていた作品が、今年は「あっこれやばい。すごい(語彙消失)」という評価になった、エネルギーが爆発した作品が目立った一年でした。
はっきり言って、これまでの私のツイートとか、めたぽーたるの記事をご覧になっている方はランキングが想像ついているかもしれません。そこは多分裏切らないところです。
(※この記事においては、感銘を受けたコマ等を引用いたしますのでネタバレ要素があります。また記事内引用部は公式サイト等から引用した「あらすじ」です。)
ランキング
1位 | ランウェイで笑って | 週刊少年マガジン |
2位 | アクタージュ | 週刊少年ジャンプ |
3位 | 呪術廻戦 | 週刊少年ジャンプ |
4位 | Dr.Stone | 週刊少年ジャンプ |
5位 | ぼくたちは勉強ができない | 週刊少年ジャンプ |
6位 | 裏世界ピクニック | 月刊少年ガンガン |
7位 | 蒼天のソウラ | Vジャンプ |
8位 | ナナマルサンバツ | ヤングエース |
9位 | 3月のライオン | ヤングアニマル |
10位 | 虚構推理 | 月刊少年マガジン |
1位・2位は、今年のチョイスの中で群を抜いています。
1ヶ月前に【140 OVER TWEET】「アクタージュ」「ランウェイで笑って」……ジョブコミックの面白さは『大器晩成』にある」という記事でその魅力を語ったので、語り尽くしたところもあるのですが、改めて言うなら、昨今珍しい長尺でストーリーを展開し一気にカタルシスを爆発させる漫画。
特にランウェイで笑っては最新コミックスの読前と読後でそれまでのストーリーに抱えていた「印象」が変わる作品であり、特にこの6巻の表紙。さわやかな表情のグータッチであり、これを「一緒に頑張ろう」という決意で受け取ってたはずの前半戦から一転して「正々堂々戦おう」という訣別のグータッチとなる。1〜5巻の積み重ねがあったことからの爆発であり、漫画だからこそできた見事な展開。ぜひともイッキ見をしてほしいおすすめ作品です。
(→右コマ「ランウェイで笑って」引用)
そしてアクタージュ。決して初速が好調だった作品ではなく、私も一度見ることを離れていたのですが、もりもりと盛り返し、この記事を書いている週においては6位掲載という恐ろしいまでの大器晩成型。ターニングポイントとなったであろう「デスアイランド編」はオーディションから本編撮影まで『説得力』ある展開で読者を魅了したし、百城千世子という正ライバルかつ正ヒロインであるキャラクターの登場がこの世界に彩りを添えた。ある意味「女性ダブル主人公」というジャンプでやるべきかどうか危ぶまれそうな作品ですが、夜凪も百城もベクトルの違うクレイジーさを持ち合わせるという意味ではちゃんとジャンプ主人公してるんですよね。
(←左コマ「アクタージュ」引用)
【ランウェイで笑って】
身長は、158cmから伸びなかった・・・。
藤戸千雪の夢は「パリ・コレ」モデル。モデルとして致命的な低身長ゆえに、周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は折れない。そんなとき、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人の諦めきれない夢「ファッションデザイナー」を「無理でしょ」と切ってしまい・・・!? 「叶わない」宣告をされても、それでも一途に夢を追って走る2人の物語。
【アクタージュ】
女優を目指す女子高生・夜凪は有名芸能事務所スターズのオーディションで天才的な芝居をするも不合格。それは彼女の危険な演技法に理由があった。しかし、夜凪の才能に魅せられた映画監督・黒山が役者の世界に誘う!!
3位の呪術廻戦。人によればこれが圧倒的な1位であろうという支持率の周辺的な高さも自覚しており、間違いなく「新人王」クラスの今年の新作だと思います。
化物を「能力」で「除霊」する。BLEACHが完結した今この分野を求めていたジャンプニーズに合致したのですが、先駆者のクオリティが高かったために求められていたものも高かった。その期待値をゆうに上回っていたのはジャンプの底力。話のメリハリ、筆致による迫力、能力の説得力。セリフ回しも今後の伏線を感じるのにくどくなく、説得力もあるのに小気味よい。セリフの一つ一つに吟味を感じる丁寧なクオリティであり、「看板」となるべくして生まれた作品だと感じました。
【呪術廻戦】
類稀な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、病床に伏せる祖父の見舞いを日課にしていた。だがある日学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、化物が現れてしまう。取り残された先輩を救う為、校舎へ乗り込む虎杖だが!?
4位「Dr.Stone」と5位「ぼくたちは勉強ができない」は昨年から継続して、安定的に面白いですね。特に「ぼく勉」。新キャラを出すごとに全部当たりな魅力を持ってるの、本当に凄いと思います。私は個人的に文乃のキレッキレなツッコミ気質がお気に入りです。
【Dr.Stone】
高校生の大木大樹は、以前より想いを馳せていた小川杠に自分の気持ちを告白しようとしていた。その宣言を聞いた幼馴染の千空から心の籠っていない激励を受け、大樹は遂に杠を学校のクスノキの木の前に呼び出して告白に臨む。ところがその刹那、突如空が眩く発光し、地球上の全人類が一斉に石化するという怪現象に襲われてしまう。
【ぼくたちは勉強ができない】
大学推薦を狙う高校3年生の唯我成幸は、なぜか天才美少女の文乃と理珠の教育係を任される。完全無欠に見えた二人だが実は意外な悩みを抱えていて…!?
6位「裏世界ピクニック」、10位「虚構推理」。小説原作のコミカライズであり、「裏世界ピクニック」の作画は水野英多、「虚構推理」の原作は城平京。ここで気付かれる方もいるかもしれないのですが、私が大好きと称してはばからない漫画『スパイラル -推理の絆-』の原作・漫画家コンビ。今は別れてお仕事をしている形ですが、水野英多はとにかく与えられた原作を雰囲気豊かに描写することが見事な漫画家であり、作画担当としての極致だと思います。「裏世界ピクニック」においてもその能力が発揮されており、原作宮澤伊織の魅力的な作品性もあいまって見ごたえのある妖怪ファンタジーとなっています。次の巻においてはネット都市伝説としては私のようなにわかでも知っている「きさらぎ駅」を扱うようで楽しみです。
「虚構推理」も鋼人七瀬編が終わってからどうやって転がすのか心配だったのですが、そこは城平京という作家。さすがだった。ファンタジーな設定を残しつつも得意のロジック・説教節でしっかり話を落としている小気味よいオムニバス作品です。
(→右コマ「裏世界ピクニック」引用)
【裏世界ピクニック】
ネット上で実話怪談として語られる存在が出現する、この現実と隣り合わせで謎だらけの<裏世界>。
研究とお金稼ぎ、そして大切な人を捜すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる。
【虚構推理】
“怪異”の知恵の神になった少女・岩永琴子が一目惚れした相手・桜川九郎は、“怪異”にさえ恐れられる男だった!? 2人に振りかかる奇想天外な事件と、その恋の行方は――!?
7位、「蒼天のソウラ」。選出はVジャンプ。どう見繕ってもキッズ向けの冊子であることは否定できません。この漫画はMMORPG「ドラゴンクエスト10」の世界観を軸として咀嚼している冒険譚……それこそ「ダイの大冒険」といった路線なんですが、作者がプレイヤーであることもあり世界観への理解の仕方と改変の妙が半端ない。
どう考えても原作のコミカライズではない、「本棚」レベルのところからストーリーテリングをしているんですが、本編にこういう展開があったのではと勘違いするくらいナチュラル。ポケモン界において「ポケットモンスターSPECIAL」が強く存在を認められているように、「ドラゴンクエスト10」界の『それ』です。
単なるバトル漫画ではない、地政学的理由による戦闘の取扱い・謀略による逆転といった掲載誌とは場違いのようなテーマもあれば、スカッとしたパワーのバトルもある。メリハリが素晴らしい漫画です。
8位「ナナマルサンバツ」、9位「3月のライオン」は毎年のようにここに載せてるので感想は省略します。
決してこれらの漫画らの魅力が落ちているのではありません。何年も何年も追っかけ続けているから、求める期待値が高すぎた。しっかりと「面白い!」は叩き出してくれているのですが、視界の外からノーマークの一撃を叩き出してきた漫画が今年は多かったため、こういった位置としました。
感想は他の記事(ナナマルサンバツへのラブをあらためて語る)で熱く語ってますので、ぜひとも見てみてくださいね。
【ナナマルサンバツ】
入学早々、高校1年生の越山識が勧誘されたのは、怪しげな先輩が会長を務める「クイズ研究会」だった! 同級生の真理に引っ張られ、識が出会った競技クイズのめくるめく世界とは!?
【3月のライオン】
桐山零は、幼いころに交通事故で家族を失い、父の友人である棋士、幸田に内弟子として引き取られ、15歳で将棋のプロ棋士になった。幸田の実子の香子たちとの軋轢もあり、六月町にて1人暮らしを始めた零は、1年遅れで高校に編入するが、周囲に溶け込めず校内で孤立し、将棋の対局においても不調が続いていた。
自らの境遇を停滞していると感じていた零は、ある日先輩棋士に無理やり付き合わされたあげくに酔いつぶされ、倒れてこんでいたところを川本あかりに介抱されたことがきっかけで、橋向かいの三月町に住む川本家と出会い、三姉妹と夕食を共にするなど交流を持つようになる。
そんな折、獅子王戦トーナメントにて、義姉の香子を巡る因縁を持つ棋士・後藤との対決に零は気炎を上げるが、それを意識するあまりに己の分を見失い、格上であるA級棋士の島田を侮っていたことを島田本人に見透かされて、大いに恥じる。その後、島田と後藤の対局を見た零は、ひとつ自分の殻を破り、島田の研究会に参加する。学校生活でも、担任の教師・林田の提案で将棋部を設立することになり、紆余曲折を経て放課後理科クラブと合体した放課後将棋科学部(将科部)に所属し、部活動を体験する。
こうした様々な人々に関わることで、少しずつ零の心境に変化が生じていった。
毎年この記事を書いて、そして昨年のものを見返すのがある意味個人的な楽しみとなっています。
皆さんの漫画読みの一助になってくれれば嬉しいです。それでは!