味方は敵のフリをする!? 『小さな巨人』に見る、理想的な管理職とは

タイトル、誤植じゃないですよ。
「日曜劇場」の今クール枠であるドラマ「小さな巨人」、面白いですね。
かつて「半沢直樹」というメガヒットオブメガヒットを生み出した脚本家である八津弘樹と、「陽気なギャングが地球を回す」の丑尾健太郎。
面白くなることが確約されている警察群像劇であり、実際、常に見入って、来週の最終回を楽しみにしています。
セミファイナルでは衝撃の事実を提示してのヒキ。これをどう収拾つけるのが見ものですが、そのドラマの中で、ずっと感じてた違和感が「やっぱり!」と花開いた一話でした。
続きからはネタバレを込みで、語ってみます。まだ話を追いかけている方は、閲覧のタイミングにご注意ください。ネタバレです。
(それぞれの人名固有名詞につき、一度目の記載は役職付き、二度目以降の記載を役職略記しています(山田・香坂は一度目から役職略記))

 



 

それこそ一話からずっと、小野田一課長を敵とは思えなかった

半沢直樹による強烈な刷り込みがあったからこそ、結構な大多数の人が小野田がラスボスという認識でドラマを見ていたのではないかと思います。
しかし、私はずっと、それこそ一話から「決して敵じゃない」、「ただの、ドライでフラットな融和派な管理職なだけじゃ」という思いを持って見ていました。


(※一切のブレがない……)

それこそ、

  • 一話で香坂をかばわなかったのも、既に大っぴらになっている失態が元。いくら可愛い部下といっても、事実を捻じ曲げてかばうリスクは高すぎる。切られて恨むのはお門違いと思います。
  • 芝署編で三笠署長を横滑りだけで終わらせたのも、天下りに根深く関与している三笠相手の処分に大鉈を振るった際の組織全体へのダメージを考えた、融和派としての決断
  • なんだかんだ、香坂に疑われる立場でありつつも、決して黒幕中の黒幕という罪状が見えない。ゴーンバンクと内密になったのも、内偵調査の一環ではないのか
  • たとえ何度も香坂・山田に噛みつかれても、事件に対し毅然とした物証と方向性を提示されたら、しっかりと飲み、捜査に活かすという、「筋の通った管理職」像
  • 山田内閣官房副長官を庇ったロジックも道理がある。国政には必要な癒着があるという考えは、全面反対は個人的にはしがたい。正しいと思います(私はできるような立場じゃないですよ?)
  • 捜査一課長室のブラックボックスである金庫の中にある裏帳簿の真実を、「覚悟」を求めて止めたのは、香坂父が一枚噛んでいるという事実を最後まで提示するべきではないと考えた、ストッパーとして憎まれ役になった

私は、語弊を恐れずに言えば、小野田のような管理職が上司についたら、喜んでリスペクトすると思います。
態度は敵っぽく誤解を招きますが、仕事に対する姿勢と、組織に対するバランス感覚はとてつもなく正確で、清濁併せ持って結論を出せるクレバーさがある、かなり素晴らしい管理職だと思うんですよね。
時には法的にダーティなところに踏み込んでいますが、それが決して100%私的権益のために動いているのかと言うと、そういう動きにはとても見えないのです。

キャッチコピー「敵は味方のフリをする」。その真意は

このドラマのキャッチコピーとして使用されていた「敵は味方のフリをする」。各人の裏切りのタイミングがこれまた絶妙で、疑心暗鬼になりつつわくわくと、この言葉の意味を踏みしめていました。
だからこそ、その逆です。小野田は、捜査一課という大所帯を率いるための管理職として、憎まれ役として「味方は敵のフリをする」ように、タクトを揮っていたのではないでしょうか。
次週の最終話、ここまでドンピシャではないといえど、そういった趣旨の発言がある気がしてなりません。柳沢監察官は小野田を「あれは、化物だ」と評しており、タイトルの「巨人」とのミッシングリンクを考えたら、「小さな巨人」は小野田を指すのではないか、と思えてなりません。

もし、小野田に対して良い感情を持てないのなら……?

例えば、半沢直樹における中野渡頭取。あれも、悪役の大和田の悪行を理解し、半沢の功績を認めつつも、大和田を平取への降格という軽い処分で済ませました。作内でもあれは、中野渡は行内融和を目指した結果だと評されており、小野田に対して悪感情を持つ見方で視聴しているのであれば、中野渡に対しても手厳しい評価を下すのが筋です。
でも、そうじゃないでしょう? 中野渡はそこまで「恨まれキャラ」ではなかったでしょう?
これは、中野渡は初期から半沢の良き理解者であったからこそ。小野田と比較すると「主人公への処罰」と「管理職としての振る舞い」が逆に作内描写されていただけであり、管理者としての筋の通り方は全く一緒なんです。
したがって、私は半沢直樹の中野渡も理想的な組織のトップだと思いますし、繰り返しますが、小野田も同様です。

でも、ここまで言って、最終回にもう一回どでかい悪役として香坂父へ罪のなすりつけをしているのであれば、私は負けだ!
それはそれで、サイコーの悪役なんで、期待しているんですけどね!

「小さな巨人」最終回は6月18日20分拡大スペシャル! 楽しみにしています!

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