「ロールプレイング」の本分を奪われた!? 迫る、MTGの遊戯王化(2014年公開記事の移管再編成)

(注:この記事は、遊戯王サイト「めたつぼ」にて2014.12.24に公開したものを、移管・再構成したものです。「めたつぼ」単発記事においては異例のバズを記録し、当時の宣伝ツイートが数百リツイートされ、公開日のユニークアクセスが4000超を記録した作品となっています。「めたつぼ」から『使える』記事は再構成してこちらに引っ越しする方向の元、この記事を移管しました。当時ご覧になってない方はぜひともご覧ください。)

 

前文

当記事の執筆にあたり、遊んでいるゲームを遊戯王からマジック・ザ・ギャザリング(以下、「MTG」といいます。)に鞍替えした方が、何故そうしたかというご意見が必要だったため、Twitterにより「#MTGに行った訳」のハッシュタグでご意見を募集していました。その結果、140超ものご意見やファボ、230超ものリツイートを頂き、ハッシュタグ外でも発言されていたものも見受けられました。今回の記事については、当初の申し述べに則り、ハッシュタグをつけて頂いているものを引用し、執筆しています。スペースの都合上全ての意見を掲載している訳ではありませんが、全て拝見しており、執筆の参考にさせて頂きました。
繰り返し、お礼申し上げます!

はじまりは、プレインズウォーカー

そういった「感情」が湧いたのは、古くは2007年のこと。MTGにおいて、『ローウィン』というエキスパンションから「プレインズウォーカー」というカードタイプが生み出された時でした。非MTGプレイヤーのために、これがどういうカードかを遊戯王風に説明すると、「場に出すモンスターである」が、「プレイヤーのライフポイントとは別のライフポイントをそのモンスターが独自に持っており」、「たくさんいるプレインズウォーカーはそれぞれ特徴ある効果を1ターンに1度発動できる」というものです。MTGは元々、「プレイヤーは魔法使いとなり、召喚魔法等を使いこなし、相手と対峙する」ゲームだったのですが、ここに言うなれば『プレイヤーの分身』となるカードタイプが生まれたのです。
このカードタイプはMTGプレイヤーに大きく支持されました。カードパワーが高かったのも理由の一つなのですが、世界観に則した重厚なイラスト、他のカードタイプに見られないカードイラスト枠から飛び出した擬似3Dイラストを用いるといった、力の入れようも半端無かったことから、今となっては異例となっている、新カードタイプが基本ルール扱いとなる扱いを受けました。
そのとき、正直きゅんとしました。突き詰めればカードゲーマーってのはアナログにロールプレイングをしたいから、遊んでいるようなもの。「大人のごっこ遊び」なんです。その願望を調理されることは、とても素敵なことでした。

それまでは、遊戯王の独壇場でした


「ごっこ遊び」に関しては、遊戯王の独壇場でした。原作やアニメという大きな下支えから生まれるいわゆる「原作カード」から入ってくるユーザーを、徐々にパワーカードに慣れさせていき、強くなりたいという願望を持たせていくものでした。
しかし昨今、この商売手法にMTGが踏み込んできました。上記の「プレインズウォーカー」から、プレイヤーを改めて「自分はウィザードなんだ」と意識改革してから、2011年「統率者戦」という新ルールが登場しました。
詳細は割愛しますが、これは「1体のモンスターを破壊できない領域に常時存在させる」ことを行いながらゲームを行うものであり、このゲームは「魔法使い」と「しもべ」と「その他」というゲーム性を色濃く描写しています。(統率者としてプレインズウォーカーも使えるそうです。魔法使いとしてのイメージがより強く持てますね)
ファンタジーな攻め口からロールプレイングの楽しさについて魅力を感じさせてきたMTG。遊戯王側は焦ったのではないでしょうか。

遊戯王は、襟を正しました


遅れること2014年(編集注:執筆日時点を指します。以下同じ。)、遊戯王はご存知の通り、思い切ったルール改正とテキスト整備をしました。今思い返すと、これはMTGの攻勢に対する、対抗策だったのではないでしょうか。
MTGがファンタジーを推す時代になったのだから、遊戯王はルールを整備してゲーム性を推そうということではないのでしょうか。
しかし、惜しむらくは方向整備・広告宣伝にかけるエネルギーは、「MTGのファンタジー推し」より「遊戯王のルール推し」の方があまりにも負担が大きいこと。元々MTGはファンタジーの重厚な世界観を持ちながら、特段別にプッシュをしていなかっただけで、0から1を生み出すほどのエネルギーは必要ありませんでした。
しかし、遊戯王はスターティングが特殊です。おそらく数弾出して売り逃げしようと思っていた凡百のトレーディングカードが、規模がでかくなり、ゲーム性を求められ、つぎはぎとパッチを当てつつトレーディングカード『ゲーム』になったという経歴があります。殆どo.1とかそこらの数字から1に発展させられるほどのエネルギーの消費を求められ、2017年現在における調整の激しさからもそれは存分に見て取れます。

地盤に与えられたダメージは、どう影響をおよぼすのでしょうか

 


2014年の遊戯王の動きは本当に激しかったです。今回の意見公募の中で、一番多かった意見が「パワーインフレ、環境変遷スパンが短い」というものでした。私もそう思います。
制限カードの改訂と、新パックの発売が同時でないことから起こる懸念であるでしょう。これを改めて貰えれば、しんどさが大きく緩和され復帰への道のりが敷きやすくなるのではないでしょうか。
「決闘者の記憶」のような魅力的な古参ユーザー向けアイテムを出しながら、ルール整備等の事情を優先するがあまり、どうにもプロモーションをしきれていない印象が見受けられます。わんこそばを食べてるわけじゃないんだから、味わう時間をもうちょっと持たせてくれてもいいのではと思うのです。

遊戯王制作部(カードゲームプロダクション部署)が抱える組織間調整の難題


そういったところから数年思っているのが、遊戯王の制作部は組織間の調整に難航しているのではないか?ということです。古くはルールに掛る「調整中」「カードが違います」だったのが、現在は制限改訂時期と新カード発売時期のアンマッチや、外国版カード使用禁止等や別立ての制限カード性に端を発するKonami Digital Entertainment, Inc.(以下、コナミアメリカ)との情報分離。
株式会社コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミジャパン)のサイトにおけるニュースリリースを見るに、カードゲーム事業は「カードゲームプロダクション」部署が所掌しており、いくつもの部により成立していると見られますが、昨今は緻密な調整をある程度捨てたマイルストーンを設定していると見受けられます。
筆者も社会人をやっていることもあって、根回しのきつさや組織間調整の大切さは身にしみています。そして、同じ部署であっても、みんなは決して一枚岩ではないことも重々承知しています。制作部署にとっての魅力的なカードデザインが、ルール整備や電話応対側にとっての魅力的なカードデザインとは限らないのですから。もし急に広告戦略側がプロモーションパックの企画をぶち込んできたら、定期的なパックの間に考えるのは骨が折れるでしょうから。
……話がそれました。遊戯王は同じカードゲームを出すのにコナミジャパンやコナミアメリカが別ブランドで発売するという類を見ない展開をしています。一方MTGはWizards of the Coast LLCが日本においても支社という形で販売代理店を運営しているため、意思系統は明確となっています。ユーザーベースの意見も上がりやすい環境であるでしょう。
長々と書きましたが、逆転現象は「長年積み上げてきたものの差」と「利権の事情」によって生じたものと感じざるをえません。この「かさぶた」が完治するかどうかは、さらに来年1年が勝負だと思っています。この「かさぶた」を剥がしてしまうといけません。転換期の痛みがユーザーにも感じられる状況にあるのは事実ですが、貫き通して、カードゲームとして一つ上のステップになれば、きっと新しいユーザーも、復帰をされる方もゲームに目を向けてくれると思います。

いつか書きたい意見の同調路線


これらの考え方に関しては、いつか別記事で整理したいと思っています。いつか、はい。いつか。

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